現役で志望校に合格するために必要なこと

 3月28日。国公立大学の追加合格者の発表で、今年の大学入試日程がほぼ終了しました(2次募集を実施している大学があるので、3月28日で今年の大学入試がすべて終了した訳ではないのですが)。
 今年の石川数学塾の塾生は合格した生徒の割合が高かったので心穏やかな3月を過ごすことができました(そもそもの塾生数が少ないので合格者の割合が高いと言っても、合格者数が多い訳ではありません)。
しかし、塾生が受験したすべて大学に合格している訳ではないので、不合格の知らせを聞くと、本当に申し訳ない気持ちになります。
また、そもそも合否の知らせがない場合もあります。知らせがないということは、おそらく良くない結果なのでしょう。もちろん、この場合も気持ちは沈みます。
 石川は、塾生の受験する大学は把握させてもらいますが、合否の連絡は「任せる」と塾生に言ってあります。もちろん、志望校合格を目指して共に走っているという感覚の石川にとって、塾生の合否は最大関心事なのですが、どう転がっても、大学受験は受験生本人のものです。生徒と先生の信頼関係があろうとなかろうと、一人で泣きたいときもあると思うのです。合格発表の日に塾生の家に電話をして合否を聞いたり、合否を知らせに塾に来るように強制することは、生徒の気持ちに土足で踏み入るような行為であると感じるようになりました。そもそも「強制」することなんてできないはずなのですが、高校生はまだまだ子供の部分があり、学校の先生や塾の先生の言うこと(特に、しつこく言われたこと)は、信頼関係があろうとなかろうと、「やらなければならないこと」と認識する生徒は多いと思います。石川は生徒にそのように思わせることをしたくないので、「石川は合否を知りたいけど、知らせるかどうかも含め、どのタイミングで知らせるかをみなさんに任せる」と言ってありました。
 ただ、これは、塾として合格実績を対外的に出さないからできることで、塾の経営を考えると良くないことなのだと思いますが、石川が一人でやっている塾なので、石川の思う通りにやれば良いことだと思っています。

 合否の結果にかかわらず、合否の知らせがあってもなくても、志望校合格を目指し必死に勉強し、良い成績をとれて喜んだり、うまくいかなくて悩んだりする、大学受験という名の貴重な時間をともに過ごさせてもらえたことに深く感謝しています。

 また、浪人していた生徒から合格の知らせを受けました。もちろん、浪人生活は平たんではなかったようですが、難関大学合格。本当によく頑張ったと思います。浪人中はまったく関われていないのに、石川にも報告してもらえたことが本当に嬉しかったです。


今年の入試に限らず、今までの大学受験を振り返り、現役で志望校に合格するために必要なことを考えてみました。

①高校3年間勉強すること
 「部活を引退してから」とか、「まだ高校入試が終わったばかりだから」などの気持ちが湧くのは理解できるのですが、受験勉強のスタートが遅くなると勉強時間の総量が小さくなるダメージが大きいです。学力はコツコツと積み上げていくことでしか伸ばせません。「1日10時間勉強する」のと「1日1時間勉強するのを10日間」では、勉強の総量は同じなのですが、得られる学力は後者の方が大きいのです。極端な言い方ですが、「覚える」ためには「忘れる」機会も必要なのだと思います。誤解はないと思いますが「部活をするな」と言っている訳ではありませので念のため。部活をしていても毎日勉強すれば良いのです。

②全科目勉強すること
 受験で使う全科目を勉強すること。受験生ではない人が聞くと当然のことのように感じると思いますが、おそらく、受験生にとってはそれほど当然のことではないようです。多くの受験生は勉強する科目に偏りがあるどころか、まったく勉強していない科目が存在します。勉強しない理由は様々です。「得意科目だから」とか「苦手科目だから」というようにどちらでも勉強しない理由になるのです。入試本番どの科目が難しく、どの科目がやさしくなるか事前にはわかりません。「得意科目で点数を稼いで苦手科目の分を補う」という発想は賢いようで賢くありません。これでは入試が「賭け(ばくち)」になってしまいます。勉強の手薄な科目の平均点が上がった瞬間、そこで試合終了になってしまいます。もちろん、大学入試は科目ごとに傾斜配点があるので、配点に合わせて科目ごとの勉強量に偏りがあるのは当然のことでしょう。しかし、「模試を受けるだけ」のような科目があると、おそらくそれが原因で不合格になってしまいます。

③学校の授業時間内で学ぶこと
 教室にいて黒板の文字をノートに写すこともしているのに、まったくと言っていいほど頭が動いていない生徒は意外に多いと思います。授業中に学べていないのです。さらに、家庭学習もしているのですが、当然、学校の授業中に学べていないので、「手探り」で勉強しているはずです。時間効率が悪いだけでなく、我流で向き合うことになるので「学びの質」がかなり低いはずです。学校の授業時間内で「先生が言っていることを理解」し、家庭学習で「先生が言っていた通り」に問題に取り組むことが大切なのだと思います。

④自分で考え行動すること
 タイトルを角の立たないようにしたのでわかりにくくなっていますが、「学校のことをやっていれば良い」訳ではないということです。「学校のことをやる」のは当然大切です。しかし、それで十分ではないのです。
 たとえば、釧路湖陵高校で数学C「空間ベクトル」が、(教科書出版社の配当時間数が14時間に対して)2時間の授業で終わってしまったことがありました(もちろん、塾生から聞いたので、この生徒が正しく認識していないかもしれませんし、この生徒が言ったことを石川が正しく認識できなかった可能性もあるのですが)。真偽とその真意を確認したく、釧路湖陵高校に電話をしましたが全く取り合ってくれませんでした。それを踏まえ釧路教育局にも電話をしましたが全く取り合ってくれませんでした。そしてこれを踏まえて文部科学省にも問い合わせましたが、学校か教育局に問い合わせるしかないとのことでした。石川はこの状態を全く良しとしていませんし、日本の公教育をよくするためには変えるべき事案だと思いますが、このルートでの状況改善が見込めないのと、この仕組みを個人で変えることは容易ではないので、自己防衛するしかないと思います。特定の何かが不合格の原因になっているのではなく複合要因で結果が生じているというのが石川の認識ですが、状況が変われば、不合格だった生徒も合格したのではと思わずにはいられない事案でした。(もちろん、塾では「空間ベクトル」の授業を通常通り行いましたので塾生のことではありません。)
今回の記事で、特定の個人や組織を糾弾したいのではありません。そこに改善を求めても時間が無駄になるという事実をお伝えしたいだけです。誤解されませんように。

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